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漢方薬による対応法は主に2段階に分かれます

アトピー性皮膚炎がクローズアップされ始めて30年以上になります。その間、漢方による対応方法もたくさん研究されました。その中でも比較的一般に行われる方法について簡単に説明します。


1)主に表面に現れている症状を取る

今あるひどい症状をとります。以下のようなタイプに分けられますが、2〜3タイプが混ざっていることが多いです。ひどい症状が出ている時期には、おもにその症状を取る対応をします。症状としてそれほどひどくない、もしくはある程度落ち着いてきた状況では、体の機能を高めアトピーの症状が極力起こらないようにします。

少し細かく説明します。

1) 湿熱タイプ
皮膚の状態: 紅斑・ジュクジュクの滲出液・水疱・ただれ・皮膚の下に膿がある感じ・むくみ・ひどいと掻いても血が出ない・皮膚の奥から湧き上がってくるかゆみ・掻き始めると止まらない・など。
全身の状況: のどが渇く・便秘またはベトベト粘る便・尿が黄色い・体が熱い・など。

2) 血熱タイプ
皮膚の状態: 赤いまたは赤黒い皮膚・触ると熱い・皮膚の表面の熱感を伴うかゆみ・など。
全身の状況: のどの渇き・便は硬い・寒さを感じない・など。

3) 風熱タイプ
皮膚の状態: 急にかゆみが出る・急に発疹、丘疹、紅斑がでる・はじけるようなかゆみ・など。
全身の状況: アトピーのいろんな時期に併発する・など。

4) 血燥タイプ
皮膚の状態: カサカサして時にひび割れる・滲出液は少ない・皮膚表面の強いかゆみ・掻くと血が出る・など。
全身の状況: のどの渇き・髪の毛がパサパサ・尿が少ない・など。

5) お血タイプ
皮膚の状態: 黒くゴワゴワした皮膚・時に厚く硬い・皮膚のしこり・など。
全身の状況: 肩こり・頭痛・アトピーになってから長い・頻繁に同一部位をかきむしる・など。


2)主にアトピーが起こった原因への対処

体質強化の時期とも言えます。基本は生活習慣の維持です。体調が良くなってきて生活に不自由がなくなると、生活習慣が乱れがちです。自分の弱点を把握し、ポイントを押さえながら楽しく生活するようにしましょう。

乾燥肌の改善から、美肌への道はある程度時間がかかります。忙しい生活や気候の変化はお肌にも影響しますので、当然波はたちます。じっくり構えて、対処してください。

原因への対処は主に2つ

一つは体の機能を整えること。体の中の不要な物を排出し、皮膚に必要な物を届ける機能。そして熱が発生した時に速やかに冷まし、またかゆみが起きにくいようにする機能です。

二つ目は、皮膚の材料や体を冷ます水、そしてこれらの材料を送り届けて不要な物を排出するためのエネルギーそのものを補うことです。

これらの機能の弱さもいくつか合わさっている場合があります。また生活習慣・生活環境の影響を受けて弱くなる場合もあります。

1) 機能を補うこと
皮膚の汗をかくことを始めとした新陳代謝の機能
失調すると起こる症状:皮膚が乾燥する・汗が出にくい・むくみやすい・など。
胃腸の消化吸収機能
失調すると起こる症状:食欲不振・食後に横になり眠りたい・だるい・便がすっきり出ない・便が安定して出ない・軟便・お腹がチャポチャポする・体が重くむくみやすい・など。
腎の水分代謝機能
失調すると起こる症状:全身の水分不足による乾燥肌・尿の出が悪い・残尿感・尿意があっても少ししか出ない・夜間尿・手足の冷え。
腎が元になる皮膚のバリア機能
失調すると起こる症状:朝からかゆい・風邪をひきやすい・家族性のアレルギー体質・長期間のステロイド使用・傷が治りにくい・花粉症。
腎の潤い分を蓄える機能
失調すると起こる症状:津液不足による乾燥肌・虚熱による皮膚の乾燥とかゆみ・寝汗が多い・夜間尿。

2) 皮膚の潤いを補うこと
皮膚の潤いを補うこと
状況:皮膚がカサカサ・のどが渇く・のぼせる。
潤いのもとになる血を補う
状況:皮膚がカサカサ・たた潤いを補ってもすぐカサカサになる・髪が細く抜けやすい。
皮膚のバリアの気を補うこと
状況:急な膨疹やじんましんがよくでる・朝からかゆい・カゼをひきやすい・汗をよくかく・温度変化に弱い・風が嫌い・花粉症がある。


アトピーのかゆみへの対処

アトピー治療で非常に重要なことの一つに丈夫な皮膚の再生があります。そのために、ひどいかゆみが起こった時、皮膚を掻き崩さないことが大切です。ある程度かゆみを封じて皮膚が再生してくると、少々掻いても崩れない丈夫な皮膚になります。

またアトピーの症状がひどい時もかゆいですが、皮膚が再生してくる時にも我慢しようのないかゆみに襲われます。この時に、2〜3日掻きむしることを防げれば、すーっと良くなることもあるのです。

かといってかゆみを我慢するのは大変なこと。我慢に我慢を重ね、最後は我慢できなくなって掻きむしってしまうなんてことになったら元も子もありません。アトピー患者さんの皮膚は正常な方よりもかなり敏感になっています。我慢しろと言うのはとても無理なことです。また、ひどいアトピー患者にとっては健常者に“掻くな!”と言われるのは腹が立つことでしかありません。だいたい、我慢ができていたら皮膚が壊れるほど掻き崩したりしません。

そこで、皮膚を守りながらかゆみを止める方法をいくつかご紹介します。

保湿クリームを塗る
乾燥しているよりは潤っている方がかゆみは少なくなります。ただし、熱をこもらせるような保湿クリームだと余計かゆみが増すこともあります。保湿クリームの選び方が大切です。基本的にすべての方に重要になります。

他人にさすってもらう
これは意外と効果があります。他人にやってもらうと、こそばすくらいにさするだけで、かゆみがおさまることがよくあります。小さなお子さんはもちろん、大人でも気持ちいいものです。いわゆる「手当て」です。軽くたたくのもいいのですが、たたきすぎると後で痒くなることがあります。

冷やす
かゆみの神経は冷やすと鈍感になります。そこで、かゆい部分や胸の真中をアイスノンや保冷剤をタオルで包んで冷やすと、かゆみが治まる場合が多く見られます。夜寝られない時など冷凍庫にアイスノンを2〜3個用意しておいて、取り替えながら使うといいでしょう。ただし、冷やしすぎると後で温まってきた時にかゆくなることがあります。

シャワーを浴びる
潤うとかゆみが減るのと、シャワーの刺激でかゆみが癒される効果があります。冷水でかゆみが治まればそれが一番良いですが、かなり強いかゆみの場合、少し熱いと感じるくらいのお湯をかけた後しばらく冷水で冷やしてください。“アチッ”と思った瞬間にかゆみが止まることが多いようです。(皮膚が敏感になっていますので、通常より低い温度で熱さを感じるようです。やけどすることはほとんどありませんが、気乗りしない場合は無理には行わないでください。また炎症がひどい部分には行わないでください。)冷やしている時皮膚が麻痺した感じがあれば、しばらく痒くなることはないと思います。ただ十分に冷やしておかないとお風呂から出た時、余熱で皮膚が乾燥しかゆみが出てくることがあるので注意してください。

かゆみ止めを使う
かゆみの種類、アトピーの状況によってはかゆみ止めの外用もしくは内服が有効な場合があります。状況に合わせて使うことが大切です。

ローション湿布
ローションをコットンにたっぷりつけ、1日1〜2回10分〜15分湿布します。赤みを取り、肌に水分を行き渡らせ、皮膚の再生を助けるとともに、かゆみを起こしにくくします。ローションは人によりまた状況により選ぶ必要があります。おすすめです。



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