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アトピーの食事、嗜好品

アトピー治療においてアレルギーを引き起こす食べ物をとらないことは重要です。とくに少量でも食べると直後にひどい湿疹を生じる場合は気をつけなければなりません。

一方で、血液検査でアレルギーを引き起こす可能性を指摘されたものでも、食べていてひどくならない場合はあまり神経質にならなくてもよいでしょう。実際小さいお子さんの除去療法はされますが、とくに青年期以降では極端な除去は勧められないのが一般的です。

それ以上に生じたかゆみを増やしてしまう食べ物をとらないことが大切です。かゆみのメカニズムからすると、かゆみの神経は体が温まると敏感になって、少しのかゆみも強く感じてしまうようになります。従って、不必要に体を温めないようにすることが大切です。以下に具体的な内容を示します。


かゆみを増やしてしまう食べ物

1. 香辛料などの刺激物
かゆみは身体が温かくなると強くなりやすいです。そこで刺激が強く体を急激に温める作用のある食べ物や強壮作用の強い食べ物を控えめにしてください。

例:トウガラシ(七味・ラー油・キムチ・明太子・カレーライスなど)・こしょう・にんにく・さんしょ・ニラ・菜の花・チョコレート・コーヒー・酒など。

2. 高タンパクのもの
日本人は元来肉を食べていない民族で、乳製品の消化力も弱いため胃腸に負担をかけます。

例:牛乳(1日200ml以下)・乳製品(チーズは控える。ヨーグルトは1日100ml以下)/牛乳とその他の乳製品を同時に取らない。卵2日に1個以下。牛肉・豚肉・鶏肉・大型の魚の肉は1日50g以下。(特に牛肉・鶏肉は控えめに)

3. 昔からかゆみを引き起こすといわれる食べ物

例:タケノコ・タラの芽・フキノトウ・わらび・ゼンマイなど。

4. 甘くて高カロリーのもの
砂糖をたくさん使った食べ物は腸内で悪玉菌を増殖させ、胃腸の機能を低下させることで、体内で最も大きな免疫組織である腸管免疫を低下させます。さらにカルシウムをはじめとしたミネラルを減少させるので、アレルギー反応を抑制する力が低下します。またエネルギーに変わりやすく、体に熱をこもらせます。

例:チョコレート・アイスクリーム・アメ・キャラメル・その他の砂糖菓子・スナック菓子など。

5. 冷たいもの
冷たいものはそのままの温度で消化吸収排泄されるわけではありません。消化酵素が働きやすいおよそ37℃まで温める必要があり、その分胃腸の機能を低下させます。その結果体内の水分代謝を悪くします。

例:アイスクリーム・かき氷・冷たいジュース・ヨーグルト・牛乳など。

6. 味の濃いもの脂っこいもの
消化しにくく、胃腸に負担のかかる食事です。胃に熱を生じます。

例:焼肉・すき焼き・ステーキ・てんぷら・とんかつ・グラタンやピザなどのチーズや生クリームを使った食事・こってりした中華料理・ポテトチップスなど。

7. 偏った食事内容になりやすいメニュー
タンパク質・炭水化物・脂質・野菜類(ビタミン・ミネラル・食物繊維)がすべて必要です。一品ものは避けた方がいいでしょう。

例:丼物・麺類・パン食など。

丼物や麺類はかまずに食べる傾向が見られるので要注意です。

パンは、精製された小麦(炭水化物)にショートニング(脂肪)を加えて作られます。それにジャム(糖分)やバター・マーガリン(脂肪)をつけて食べることが多くなります。ほとんどの菓子パンは糖分が主。またパンと一緒にとるものが、コーヒーや紅茶、牛乳(脂肪)、ヨーグルト(脂肪)、卵料理(蛋白・脂肪)、などが多く見られ、栄養バランスが悪く、便の材料になるものが少ないのです。


日本人の消化器官の特徴→和食に適した身体

農耕民族なので大昔より消化しづらい雑穀を食べていたこともあり、欧米人に比べ腸が1〜2割長くなっています。つまり便秘しやすいのです。

飢餓への対応能力が高く、脂肪として蓄えやすくなっています。(倹約遺伝子)

乳製品に多く含まれる乳糖の分解酵素の活性が先天的に弱いといわれます。


アトピーに良い食事

基本的には和食中心。食材の注意は少し必要ですが、ほとんどの和食は食べられます。また、炒め物などの油ものも新しい油を使った手作りならOK。でも週に2〜3回程度にしてください。

タンパク質・炭水化物・脂質・野菜類(ビタミン・ミネラル・食物繊維)がすべて必要です。およそ3日単位で食事のメニューを見直してみましょう。たとえば“この二日ほど野菜が少ないかな?”と思えばその日のメニューに野菜が豊富なものを加えてください。

「ご飯にお味噌汁」はバランスがいいので1日1回以上加えるといいでしょう。

お勧めの食材

タンパク質: 魚(ちりめんじゃこ・干物・焼き魚・煮魚、お刺身よりは加熱したもの)・貝類・豚肉。

炭水化物: 米(玄米や5分づきなどにできればなおよい、でも無理は禁物)・その他雑穀。
※パンやメン類の小麦は精製されすぎていて、日本人は便秘しやすいのです。

野菜類:
(ビタミン・ミネラル・食物繊他)
特に海藻類・豆類・キノコ類・緑黄色野菜(ニラ以外)。

その他の注意

よくかんで食べましょう。早食いは禁物です
一口食べたら箸を置くことでゆっくりになります。

食べ過ぎないこと

インスタント食品はなるべく避けてください

便秘をなくする意味でもストレッチをしましょう

特にお腹をねじる動きを入れ、手・足などの大きな筋肉を動かすようにしましょう。これにより胃腸で吸収した栄養素が筋肉、ひいては皮膚のほうに流れてくるので、皮膚が潤いやすくなります。汗をかくほどする必要はありません。体が温まるとかゆくなる傾向の強い方はお風呂の前に行ってください。滲出液が多い場合は無理に行わないでください。

夜遅い食事はできるだけやめましょう
どうしてもしようがない場合は消化の良いものを軽めにしましょう。夜中はできるだけお腹も休ませたいのです。

朝ご飯は必ず食べてください
どうしても食欲がわかない方はみそ汁だけ、バナナ1本でも結構です。

食べ物・飲み物は気を抜くとすぐ悪化してしまいます。逆に頑張って注意すると、より早く調子が良くなるものです。

慌ただしい現代は、できるだけ時間短縮でき便利なようにと、膨大な種類の食品が開発・販売されています。ファーストフードやお弁当をはじめ、様々な栄養補充食品があります。さらに、人々の欲求をそそるお菓子やジュース類もたくさんあり、それらに囲まれて、「おあずけ!」とばかり、それらを使わずに規則正しく生活しろというのも酷な話です。昔の人は食べなかったのだから・・というのは、昔にはなかったから。我慢する必要もなかったのです。とにかくこれらの食品に関しても、上手に使うことが大切なのですが、この「上手に」が難しいですね。


アトピーと嗜好品

アトピーでも楽しみは必要です。ただ体の状態による判断と「モノ」は選ぶ必要があります。

タバコは厳禁
タバコの有害物質は数百種類知られており、アレルギーを引き起こすものもたくさんあります。副流煙にも気をつけてください。


アルコールは体を温めますので、かゆみが強い時には悪化させる可能性が高くなります。ただ、循環をよくしますので、アトピーが改善すれば楽しむこともできるようになります。

コーヒー
これも刺激の強いものです。かゆみの強い時には飲まないほうが良いでしょう。

紅茶
体を温める作用があると言われます。やはり、かゆみの強い時には飲まないほうが良いでしょう。

次に「運動」についてお話します。




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